スマートシティと未来のモビリティ

　人やモノの「移動」はこれからの社会の中でますます重要な位置を占めてくると思われます。そこで、混雑や渋滞のないスマートなモビリティを実現するために、私たちはハード、ソフトの両面から知恵と技術で渋滞問題に立ち向かわなくてはなりません。しかしなかなか渋滞はなくならないのが現実です。

　そこで、関連した専門分野だけで閉じるのではなく、今後はさらに、人類の叡智を集めた分野横断的な渋滞研究をしていく必要があると思います。そしてモビリティの全体最適のためには、今後は渋滞アセスメントといった概念も必要になってくるでしょう。また、数千年以上続く生物の移動の知恵にも学ぶことも大切です。

　こうした様々な視点から、将来のスマートモビリティの姿を語りたいと思います。

　世界中に2,500を超えるユーザを持つPTV社では、交通シミュレーションやロジスティクス計画ソフトを活用した都市づくり、環境づくりを提唱しています。

　海外の主要都市でどのようにシミュレーションを用いて公共交通機関や民間交通機関、また、物流やサービスの流れを最適化しているか、事例を用いてご紹介します。

　２１世紀に入りミクロの挙動に焦点を当てた研究が評価され、限定合理性や情報の非対称性を織り込んだ研究がノーベル経済学賞の対象になっています。

　当社で新設された社会デザイン・マーケティング部の活動からこの分野の将来を語らせていただきます。

　2012年、スマートシティは実ビジネスの段階に入ります。過去5年間に、世界各地でプロジェクトが立ち上がり、実証実験が繰り返されてきました。いまだに実証実験の域を出ないプロジェクトが多数ありますが、その中から事業化に向けて動き出したプロジェクトが出てきています。並行して、開発が進む数々のシステムや機器を、社会基盤であるスマートシティと関連付ける動きが鮮明化しています。

　横浜市で開かれた「Smart City Week 2011」、スペイン・バルセロナ市で開かれた「Smart City Expo World Congress 2011」などの最先端の知見を踏まえて、2012年を見通します。